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2017年4月29日土曜日

アルファベット (グーグル) の 2017Q1 決算発表を読む

4月27日に、グーグルの親会社アルファベットから2017年第1四半期(1月〜3月)の決算発表が出ました(リンク)。その結果株価は $874 から一時 $916 まで値を上げました。これが投資家のどういう判断に基づくものか見ていきます。
まず売上 (Revenue) ですが、昨年第1四半期の 202.57億ドル から 247.50億ドル に 22% 伸びています (Increase in revenues year over year)。為替損が多少あったようなので、その変動を除くと 24% 伸びています (Increase in constant currency revenues year over year)。

営業利益 (Operating income) は 65.68億ドル で、これが売上から諸経費(インフラコスト・人件費等)を除いた利益です。売上に対する営業利益の割合である営業利益率 (Operating margin) は 27% です。一般に営業利益率は IT 企業は高めですが、それでも平均すると 20% くらいなので、グーグルは比較的スケーラブルにサービスを提供していると言えます。ちなみにヤフー株式会社 (Yahoo! Japan) の営業利益率は2016年度が 22.5% 、マイクロソフトは 23.6% です。他の業種だと、トヨタが 10.0% 、三菱商事が 0.14% でした。三菱商事は 2015年度は 2.7% です。

税引前当期純利益 (Net income) が 54.26億ドル で、これは営業利益から本業以外の損益(支払利息・受取利息等)を加え、最後に特別損益(事故による一時的な損失等)を加えたものです。ここから実効税率 (Effective tax rate) 20% の法人税を支払います。
発行済株式数 (Diluted shares) は 7億株 で、前年より 272万株 増えています。外資系企業では RSU を配るので、その部分が大きいかもしれません。例えば一人あたり 3万ドル 分 RSU を配るとし、株価を 800ドル、従業員数を 7万人 とすると、RSU による発行済み株式の増加分は 262万株 となりますね。一株あたりの利益 (Dilluted EPS) は 7.73ドル です。従業員数 (Headcount) は前年から 9877人 増えて 73,992人 になりました。

ここまでが、明示的に書いて有ることです。ここからこの数字を分析していきます。
適正な株価を考える上で目安になることはいろいろありますが、最もよく使われるのが株価収益率 (PER) でしょう。1株あたりの純利益に対する株価という定義ですが、同じ利益が4四半期間12ヶ月続くとして、株価 874ドル の場合 28.2倍、916ドル の場合 29.6倍 です。PER の東証一部平均がだいたい 15~20倍程度 だと言われています。高ければ高いほど、将来的に利益を伸ばしていってくれるという期待を表します。一般にベンチャー企業と呼ばれる企業の方が、現状の利益が少ない割に将来性が期待されるために PER は大きくなりがちです。例えばミドリムシ関連の事業を行っているバイオベンチャーのユーグレナの現在の PER は 125倍 です。
株が価値を持つ理由は、最終的に配当が得られるからですが、PER 20倍 で、配当性向 (税引き後純利益に対する配当の割合) が 100%、法人税率が 30% の場合、配当利回りは 3.5% になります。株という比較的不安定なものに投資するのであれば、3.5% くらいの利回りは欲しいよね、というあたりで需要と供給のバランスが取れているということです。
さて、市場的にアルファベットの株価は PER が 29.6倍 くらいだとちょうどいいよね、という評価を意味します。つまり将来的には 1.5~2倍 くらいの利益を出してくれるだろうという市場の期待です。グーグルが 2004年 に上場した時、公募価格は 42.5ドル(株式分割を考慮)、純利益は 4億ドル程度 でした。株価は20倍以上、純利益は50倍以上になっています。広告事業だけではこれまでのペースでの成長は難しいかもしれませんが、まだ利益になっていない新しい事業が今後どう利益につながるかが気になります。
データ・スクリーンショットは Alphabet Announces First Quarter 2017 Results より引用

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